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スティーヴ・ラング 経済・科学担当公使

原作から巨大シネマコンプレックスまで:知的財産権が、いかにして魅力的な雇用を支援し創造的経済を支持しているか。

コロナ蔓延のなか、映画は私たちにとってますます主要な娯楽となっています。世界を旅するという選択肢がない現在において、映画は私たちを魅了し、楽しませ、世界中に旅をさせてくれます。
しかし、スーパーヒーローの次なる続編を観るために電気を消してポップコーンの袋を開ける前に、この世界知的所有権の日を機会に、映画製作を担っている人々や知的財産について考えてみましょう。
知的財産は、映画製作におけるどの段階においても不可欠なものです。
最初に、脚本家が書き、あるいはソフトウェアのプログラムに入力しますが、その時点で知的財産保護を享受しています。 次に、プロデューサーがその作品を以て資金調達をし、俳優からメイク係、美術スタッフに至るチームを招集します。撮影中、エンジニアたちは自身の発明を守るために特許を活用し、作曲家や音楽家たちはロイヤリティと出演料を引き換えに、著作権で保護されている楽譜を提供します。映画が完成すると、プロデューサーは世界中の配給・配信会社に映画の使用許可を与えることによって利益を得るのです。
知的財産権は、この革新サイクルを支えるものです。著作権、特許権、並びに商標の保護には、映画ロケ地での労働市場の活性化、映画祭を通じての小規模企業へのビジネスチャンスの連鎖の形成、ストリーミング・ライセンス、ポップコーンや商標登録アクション・フィギュア等の売り上げと言った大きな波及効果を生み出します。
映画撮影技術においても技術開発が促進され、自律型のドローンカメラや3D印刷、アルゴリズムに基づいたビデオ編集に貢献しています。また、大ヒット映画の音楽、振り付け、セットデザインやその他の要素は、娯楽産業の活力を増進させる事に幅広く貢献しています。
日米両国は、映画製作における知的財産権に関して長年にわたって協力してきました。映画製作は確実に保護すべき価値のあるものです。興行収入は最大で420億ドルにのぼり、新興経済国の外国映画に対する需要は増加の一途をたどっています。映画産業は強力な知的財産法の制定に、そして映画産業の従事者は著作権侵害対策の実施や侵害に対するガイドラインの施行を頼りにしています。
米国大使館は、映画製作における知的財産権をサポートすべく日本国際映画著作権協会と提携して行くことを光栄に思います。我々は、今後も映画産業支援のために、一丸となって取り組むことをうれしく思います。

スティーヴ・ラング 経済・科学担当公使

2020年7月、在日米国大使館に経済・科学担当公使として着任。 それ以前には国務省の経済・ビジネス局、国際連絡・情報室の多国間および二国間地域担当部長として勤務。メキシコシティの米国大使館にて政治担当公使として2013年から2015年駐在。 2011年から2013年は、中国・モンゴル部の副部長として本省勤務。 2010年から2011年には、米国通商代表部の日中韓及びAPECオフィスに上級アナリストとして在籍。 過去には中国・広州の米国領事館、台湾・台北の在台湾米国協会、本省西半球部、タイ・バンコクの米国大使館、およびキューバ・ハバナの米国利益代表部にて勤務。

国務省入省前は、エコノミストとして米国労働省に勤務。 ワシントンD.C.のジョージタウン大学卒業。 家族は在日米国大使館の領事担当公使参事官兼総領事のカリン・ラングとの間に二人の娘がいる。